被相続人が亡くなる直前に預金が引き出されていた事例
2021.07.03
<事案の概要>
相談者のご親族が亡くなられた後、亡くなられた方の預貯金が引き出されていたことが判明したました。
相談者は法定相続人でありましたが、引き出した方にそのことを伝えても、色々理由をつけて、相談者に
法定相続分を渡すということはできないとの回答でした。
そこで、奈良あさひ法律事務所に相談に来られた次第です。
<結果等>
お話を伺うと、亡くなられた方は、預貯金が引き出された時点では、自ら引き出しをすることもできず、意思能力がないと
考えられる状況であることが判明しました。そして、第三者の証言も得られており、仮に訴訟になったとしても、
被相続人に意思能力がなかったことの立証は可能だと考えました。
その後、引き出しをした方と連絡をとり、当方の主張を書面にてお伝えし、相手方と当方で見解の相違はあるものの、
相談者の法定相続分については、相談者に返金することで合意することができました。
実際、当該法定相続分は、支払われました。
<弁護士から一言>
本件の場合、相談者も弁護士が介入することで相手方も返金に応じてくれるのではないかとの思いをもたれており、
実際にそのようになりました。ただ、仮に返金されない場合であっても、証拠を吟味し、訴訟において、当方の主張が
認められるか否かの見込みを持ちつつ、交渉することは、不必要な譲歩をせずに交渉でき、有効です。
その意味でも、返金を求める法律構成、証拠の有無、証拠の価値について、事前に弁護士に相談することは有効であると
思います。