刑事事件(交通事故)
2021.06.11
<事案の概要>
ご相談者は、40代の男性で、交通事故を起こしてしまい、警察で取り調べを受け、どうしたらよいのか分らない状況でご相談に来られました。
お話しを伺うと、警察での取り調べでは、自らの不注意を完全に認めておられ、警察の言うとおりに調書も作成されたとのことでした。
事故は、相談者が来るまで走行中に、道路を横断してきた人物をはねたという事案でした。
ただ、その日の天候、時間帯、被害者の服装、行動などについては、加害者(相談者)が一方的に悪いとは言えないのではないかという印象でした。過去に同種前科があり、今回の被害者の被害状況が強い後遺障害の残存するものであったため、実刑が皆無とは言い切れない事案であり、相談者としては、やれることはやりたいという考えをお持ちだったと思われ、すぐにご依頼いただきました。
<結果等>
まず、検察の証拠を徹底的に調べました。証拠には、ビデオ映像についての報告書がありました。そこで、検察官に対して、ビデオ映像の任意開示を求めました。ビデオを見ると、とても鮮明で、夕方にもかかわらず、明るく感じました。これは、加害者にとっては、不利な事情でしたが、ビデオの場合、鮮明に映像を録画する機能が通常あり、肉眼とは異なる映像であることを主張しました。このほか、被害者の道路の横断方法に違和感を感じ、約1秒ごとに画像をキャプチャーし、電柱などの動かない物と人物の位置関係を検察官証拠である実況見分調書添付の地図に落とし込みました。すると、被害者が道路交通法に違反している可能性が高いことが判明しました。
公判廷では、一般的な情状弁護のほか、被害者側の過失についても、弁護人作成のビデオに関する報告書をもとに主張を展開しました。
結果として、禁固刑で執行猶予が付されました。
ただ、思った以上に、求刑(禁固刑)は短いものでしたので、検察側も被害者側の過失について考慮してもらえたのではないかと思っています。
事件終了後、依頼者からは、結果だけでなく、その過程(証拠の分析やアドバイス)について、感謝の言葉をいただくことができ、全力で取り組んだ甲斐があったと感じました。
※事案については、特定できないよう詳細な部分は省略等したり、ご相談者の経歴・年齢を創作し、男女の別を入れ替えるなど一部修正等していることもあります。