「子の引渡しの審判と審判前の保全処分」ってご存じですか?
2021.02.27
「配偶者の一方が、子供を連れて、突然家を出て行った。」
このような事例は少なくないのではないでしょうか。
親権については、皆さんよくご存じな方も多く、
女性が有利であるとか、子供を連れて行ったほうが有利だとかおっしゃる方がいます。
現実としては、一般論としては女性が有利に感じます。理屈で言えば、子供の福祉に資するかどうかという視点が非常に重要です。
結果的に、全体として女性が有利な状態になっているのではないかと感じています。
この辺は本当に難しいです。その家族ごとに状況が違うので、女性だから必ず有利とも言えないように思います。
ただ、現状では、子供の世話を中心的に行っているのが女性が多いため、そのことは女性有利に影響していると思います。
また、本来、親権は、過去よりも未来がどうあるかという点が重視されるはずです。
つまり、過去に子供にとって幸せであったかどうかよりも、将来子供にとって幸せかどうかという視点で親権を判断するのは、
当然でしょう。
ただし、裁判所は、過去と現在については、証拠により容易に確認できますが、未来については、判断しづらいということもあり、
結果として、過去と現在の事実(特に現在の事実)から未来を予想するということになり、女性が有利になっているのではないかと思います。
逆に言えば、未来について、男性側が親権を持ったほうが有利であるという立証ができれば、男性であっても親権が認められる可能性はあります(理論的には)。
話は戻りますが、親権を取りたいと思う場合、子供を連れて家を出ていくことが本当に有利なのでしょうか?
この辺については、ここでは書きませんが、「出て行き方」を考える必要があると思っています。
具体的には、弁護士に相談されたうえで、どのようにして出て行くかという点についてもレクチャーを受けた方が良いと思います。
他方、出て行かれた側の配偶者にも、対応策はあるにはあります。
その一つが、子の引渡しの審判と審判前の保全処分を申し立てるということです。
この二つはセットではないですが、一緒にしておくことで、スピード感が違ってきます。
保全処分は、本案前に仮に処分をしてもらうことを言います。子の引渡しの場合、まさに、子を一旦引き渡してもらうことを求めます。
また、子供の監護権を行使するのも共同では難しい場合が多いので、子の監護者の指定の審判も申し立てる必要があります。
途中書いた「出て行き方」によって、子の引渡しの審判が有利にも不利にも影響すると思いますので、ご注意を。
とはいえ、個々の夫婦関係、家族関係は十人十色です。負ける可能性が高くてもやるだけやりたいという人もいれば、
負ける可能性が高いのであれば、相手方と協調的に和解的解決を求めたいという方もいらっしゃいます。