傷害罪の捜査で最終的に不起訴になった事例
2021.07.03
<事案の概要>
依頼者は、とある方ともめ事になり、相手の衣服をつかんでしまい、
相手の方が被害届を出され、その後、診断書を警察に提出されたことから傷害罪として捜査が開始されました。
依頼者は、傷害罪の被疑者となりました。
依頼者としては、どうしていいかわからなくなり、奈良あさひ法律事務所にご相談に来られました。
<結果等>
依頼者のお話を伺っていると、既に警察で取り調べを受けており、言われるがままに話をしてしまっていたとのことです。
なお、これは警察の名誉のために申し上げますが、無理矢理言わされたわけではなく、依頼者が雰囲気にのまれてしまって、
事実とは少し違うことを言ってしまったということです。
しかし、話を聞くと、被害者とのやりとりについて、事実とは少し違う点がわかってきました。
そして、被害者が診断書を提出したことで、改めて依頼者の取り調べが行われることになっていたので、その際に、事実を事実として
伝える練習を何度も行いました。
その結果、検察庁に書類送検された後、検察官は傷害罪での立件ではなく、暴行罪を視野に略式起訴を検討されることになりました。
この検事調べの練習も事前に行いました。
他方、被害者は示談を拒んでいる状況でしたので、不起訴というのが容易ではない状況でした。
そこで、一定の金額を法務局に弁済供託し、その事実を検察官に伝え、証拠を送りました。
結果、総合的な視点からだと思われますが、不起訴となりました。
<弁護士からの一言>
傷害罪で捜査され、不起訴となる事例はあまりないと思います。
しかし、一つ一つの事実を丁寧に確認し、それを捜査機関に正確に伝えることで、傷害が暴行になり、
暴行が不起訴になることもあります。
弁護士によっては、弁済供託はあまり意味がないとおっしゃる方もいらっしゃいますが、結果として、
今回は弁済供託も意味を持ったと思います。
できる限りのことをやってみる。刑事事件に限らず、必要なのではないかと思います。